まだ、気づかないジョージ。
この時、アースルがふと口にした。
「キャリー・コルベットの事かなセディ婆?」
「お前さんの所で、メイドとして働いていた…
そのコだよ」
「どうりで、人形や北の魔界に詳しいと思った」
呆然となるアースルを横目に、納得するジョージ。
セディは近くに置いてある電気スタンドの、白熱灯の明かりを見つめ始めた。
視線は…
遥か遠い、異次元の北の魔界を見ている。
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北の魔界…
人間を超越した様々な種別が住む異次元界。
そこは…
厚い氷に覆われた大地が広がる、極寒の暗い世界でもある。
氷の丘に一際、輝く大きな白いお城。
魔界の小さな人形たちが生活する場所であり、ダーヤンが人形遊びを楽しむ場所でもある。
シーンと静まり返る辺りをよそに、城の中は賑わっていた。
広い王の間では、沢山の小さな人形たちが一際大きなダーヤンの周りに集まっている。
「キャハハハハ!」
「キャキャ!」
「ダーヤンサマァ!」
「ワーイ! ワーイ!」
「ケッコンシキッ!
ケッコンシキッ!
ケッコンシキッ!」
結婚式が始まると言う事で…
人形たちは凄くハシャいでいる。
しかも…
ダーヤンから新しい衣装を着せられて、誰もが大ハシャギ。
特に…
「はあい。キャロラインとローズマリーの分、出来上がりィ」
キャロラインとローズマリーは、よりゴージャスに縫い込まれた…
とびきりオシャレな衣装が着せられた。
地上界で一生懸命頑張って来た2体への、ご褒美だ。
「ステキナ、ドレス!
ウレシイ!」
「ウレシイ!」
キャロラインもローズマリーも大喜びで、踊り出した。
人形たちは、ダーヤンの周りでハシャいだり、チョロチョロと走り回ったりして…
ダーヤンとの楽しいひとときを過ごす。
「キャキャ!」
「キャハハハハ!」
「ダーヤンサマァ!
ダーヤンサマァ!」
中には、ダーヤンの肩に座って足をバタバタさせたり、走り回ったりする人形たちや…
ブランコやシーソーで遊ぶ人形たちもいる。
宙に浮くバーでハシャいでいた1体が足を滑らせて、下に落ちた。
「ウー、ウワーンッ!」