「・・・」
里美さんとユルキャラジョセフくんは無言のまま見つめ合いました。そして、どうしても里美さんは彼に伝えねばならないことがありました。
「あんた要らないじゃん」
ジョセフくんは首(体全体が頭部)をひねりながらしばらく考えてから口を開きました。
「俗な人間はスグにそんなことを口にする・・・」
「でも、必要ないじゃん」
「・・・」
ジョセフくんは黙り込むしかありませんでした。
「さて、なんか試してみようかな」
里美女史は泣き出したユルキャラを無視して例の本をパラパラとめくり出しました。
「とは言え、魔法でやりたいことって言っても思い付かんわな」
魔法の存在を未だに疑って止まないので、とにかく身近なことからやってみることに・・・。
「ジョニカステニヲス・・・カラチィオ・・・ジュケアポルテ」
恥ずかしさを感じながらも里美女史ガンバリました。
すると、どこからともなく小銭が降ってくる音が・・・。
「あ、一円玉・・・」
一円玉が一枚床に落ちています。
「金額を言ってないからこの国家での最小通貨しか出ないよ」
「うわっ、ビックリしたぁ」
ジョセフくんがいつの間にか里美さんの肩にのっていました。
「そこの縦線の箇所に金額を入れて読んだらその金額のお金がでてくるよ」
「へぇ、そうなんだ」
「アンタ、辞書使ったことないのか?そんなの常識だろ!」
「なによ、ケツ!アンタが説明しないから悪いんでしょ。職務タイマンよ。タイマン」
「普通の人なら言わなくてもわかる。しかし、いの一番に金を出そうとするとは何ともせちがらい・・・」
「なによ、文句ある?」
ジョセフくんは鼻で笑う。
「いや、別に・・・」
ここぞとばかりにやり返す。
「いくら出そうか?十億、いや一気に一千億くらいだそうかぁ」
またしてもジョセフくんは無視されていました。「あ・・・、あのそれはやめた方が良いんじゃないかと・・・」
「なに、またせちがらいとかいうの?じゃあいくよ〜」
今度はちゃんと金額を入れて呪文を読み上げました。
つづく・・・