パタタッと赤いものが地面に散乱した。
背中が焼けるように熱い…。
「ぐっ…」
叫びたい衝動に駆られたがそれを必死に堪え俺は後ろを見た。
後ろには奴が居た。
黒いコートで上から下までを覆った、あいつが。
まるで陽炎のように。
「てめぇか…」
見た瞬間、背中の痛みはいつの間にか感じられなくなっていた。
「村をっ…こんなに…っ」
右手を血が滲むほど握りしめた。
「滅茶苦茶にしやがったのは…」
右手の紋章が赤く光る。
俺はその瞬間に走り出した。
「てめぇかぁぁあぁあぁっ!」
奴が何かのモーションをした時、既に俺は奴の懐に入り込み長さ五尺半程の剣を握り締めていた。
血が滴るほど強く、本当に力任せに握り締めていた。
「ああぁあぁあぁぁあぁっ!!」
ザッと俺は奴の腹部辺りを抉りとる。
そこから血が噴き出し俺の身体を紅く染めた。
「……」
だが奴は呻き声を上げるどころか仰け反りもせずに俺に向かって腕を振り下ろしてきた。
俺はそれを紙一重で避け
、奴の左腕を両断した。
再びそこから血が噴き出す。
奴の動きが一瞬鈍った。
「あぁぁあぁぁあぁっ!」
俺はそこから力任せに剣を振るい奴の腰から上を切り落とした。