「すっげー!」
シークたちが叫んだ。
まさに足の踏み場ない部屋だったから、少々手を加えれば大きく変わる。
それに、カナたちはほとんど半日かけて床を磨いたりシーツを洗ったりしたのだ。彼等が感激しないはずがなかった。
つやつや光る床や、汚れの見当たらないベッド(客用のような簡易ベッドで、大人が寝られる大きさだ)のシーツ。
それに、綺麗になったぬいぐるみたち。いくつか(というか半数ほど)捨ててしまったが、4人が何も言わないのでさほど気にしていた物ではなかったらしい。
「これからはこまめに掃除しよーね」
「カナとレイがいるならする!」
「いつまで子供でいるんだよ」
「俺たちは子供じゃないけど、レイは年上だろ」
なんだそれ、とレイが笑った。
「おーっ、すっげー」
ひょいっと部屋を覗き込んだユーラが、シークたちと同じリアクションをした。
両手を腰にあてて、感心した様子で部屋を見ている。
「別世界みたいだなー」
「いいだろ。ユーラもしてもらったら?」
「だめだよ、ユーラは大人だから」
「大人じゃないよ、おじさんだよ」
「じじい!じじい!」
キャッキャと笑う4人に、ユーラが怖い顔をして見せた。
そういえば、ムンが、ユーラは子守が上手いと言っていた。
「ユーラの部屋もやろうか」
レイの言葉に、ユーラはえ、と言った。
「だめだめ。ユーラの部屋には見られちゃいけないものがいぃっぱいあるんだ」
「そうそう。カナたちが見たらびっくりしちゃうよ」
4人が口を揃えて言うので、レイがじゃあユーラの部屋は保留にしとくよと笑って言った。
見られちゃいけないものって何だろうというカナの考えを遮るように、ユーラがぽんとカナの背中を叩いた。
「そーだ。降りる準備しろよ。もーすぐ島に着くぜ」
それを聞いたとたん、シークたちが部屋を飛び出して走った。
笑いながらカナたちもその後を追った。