シンとした空間にランスォールの声がカラリと響いた。
呼び慣れた名前なのになんだか声が微かに震える。
「………っ!」
呼ばれ慣れた名前にシーラは動揺し、身を隠すように狩人の後ろに引っ込んだ。「シーラ?」
フォーが問い掛ける。
彼女の瞳は哀しそうに、泣きそうなほど潤んでいて、まるで彼に会うことを恐れているようだった。
「シーラ、聞いてくれ。」
「ごめんなさい。」
小さな肩が震える。
「…シーラ。」
ランスォールが踏み出すとシーラは僅かに後ずさる。「ごめんな、シーラ。」
たったそれだけの言葉なのに、シーラの肩から震えが止まった。
「ランス、ありがとう。
でも、ダメだわ。私、もう貴方とはいられない。」
「…どうして?」
「だって、私、貴方のお母様を…」
「殺した、って言いたいのか?」
シーラは答えない。
「もう、自分を責めるなよ」
泪が、溢れた。
言葉が胸に刺さって痛い。詞が胸に染みていく。
泪が、頬を伝う。
「赦されていいのかな…
こんな私が…みんなといていいの…?」
「許すも許さないも、シーラは最初から何もしてないだろ?」
一歩一歩、ゆっくりと歩んでくる。
「な?シーラ。」
「ランス…」
瞼が熱い。
シーラはランスォールの胸にしがみつき、声を上げて泣いた。