渇空

ひめ  2009-01-19投稿
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 アレが現われたのはいつだったろう。
 その瞬間、真っ青な空が一面の砂漠になって、わたしを圧倒した。静かに広がる蒼い砂漠に白い月がぽっかりと浮いていた。
 美しく、妖しい虚ろの世界がそこにあった。
 まるでわたしの心のようだと、小さく嗤う。
 心の底から笑うことなど忘れてしまったわたしは、ただ虚しく嗤うだけ。
 そのことを傷むことも今ではなくなり、感じるすべてに現実味がなかった。
 
 そうして今日も仰ぎ見る。
 渇いた蒼い砂漠は相変わらずで、時折、熱気と冷気で渦を巻いてわたしを襲う。
 いつになったら呑み込んでくれるのか、それだけを想いながら、今日もまた空を見上げる。

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