アレが現われたのはいつだったろう。
その瞬間、真っ青な空が一面の砂漠になって、わたしを圧倒した。静かに広がる蒼い砂漠に白い月がぽっかりと浮いていた。
美しく、妖しい虚ろの世界がそこにあった。
まるでわたしの心のようだと、小さく嗤う。
心の底から笑うことなど忘れてしまったわたしは、ただ虚しく嗤うだけ。
そのことを傷むことも今ではなくなり、感じるすべてに現実味がなかった。
そうして今日も仰ぎ見る。
渇いた蒼い砂漠は相変わらずで、時折、熱気と冷気で渦を巻いてわたしを襲う。
いつになったら呑み込んでくれるのか、それだけを想いながら、今日もまた空を見上げる。