爆発音が闇の静寂を消し去り、木々を激しく揺れ動かすと、闇夜に向かって新緑が舞い上がっていった。
「が…はっ…」
グラムは爆風を受けて後ろにあった木に激しく背中をぶつけると、口から血を吐いて、呼吸を乱した。
闇の波動をまともに浴びた胸から腹にかけて、赤黒い火傷のような跡がついている。
「はあ…くっくっく…完全に力負け…か」
グラムは悔しそうに、しかし、どこか満足したような表情で木に背中を預けて座り込むと、口から大量に血を吐いて下を向いた。
赤黒い血を見つめながら、グラムはこれまでの人生を、薄れゆく意識の中で思い出していた。
親に捨てられて…生きていく為に何でもしていたなあ…―\r
親に捨てられた少年時代、グラムは一振りの剣を頼みとして、殺し、盗み、脅しを繰り返していた。
だが…あそこは別だった…僅かしかいられなかったが、あの孤児院だけは…俺を受け入れてくれた…―\r
たまたま追手から逃れて潜り込んだ孤児院で、グラムは僅かの間、素晴らしい教師や自分と同じ境遇の子供達と共に、過ごした。
忘れられねえよなあ…全く…。だが…あんな事になるとは思ってもみなかった…くそっ!―\r
グラムが去った後、孤児院は閉鎖されてしまったのである。