君の暮らしていた町バスが近づく
思えばよくこのバスで君に逢いに行ったものだ
あの頃よく降りた停留所にバスが滑り込む
ふと目をやると そこにおなさい少女の手を引いた君がいた
扉が開き 君と少女が乗り込んできた
僕はなぜか君を見ることが出来ず 伏せ目がちで少女を見つめてた
僕の二つ前に座り 楽しそうに会話する二人
ボンヤリとその会話を聞き入っていた僕の耳に突然 降りる場所のアナウンスが飛び込んできた
降りようと立ち上がった僕の気配に 少女が振り返った
「バイバイ」声を出さずにつぶやいた僕に 微笑みかけてくれたその顔は
僕の記憶の中にある 一番好きな顔と同じだった
振り返ることもせず
二人の横を通り過ぎ僕はバスを降りた
まぶしい光にしかめた顔は なぜかやさしい顔になってた