1-? 春の墓
純は,ぼんやりともと来た道を歩いていた。
女とのさっきの出来事が何度も思い出される。
『また,この場所へ来ますか?』
女は別れ際に呟いた。
『あの,良かったら‥』
思い切った様に女は言った。
『また,私と会って下さいませんか?』
女の顔は日が沈んでいて良く見えない。
純は,自分に?と小首を傾げた。
しかし,単純にまたこの心優しい女に会いたいと思ったので,
『ええ,来ます。必ず。』
と,答えた。
答えを聞くなり,
女は喜びに溢れる笑顔を見せた。
暗いはずなのに明るい笑顔がはっきりと見えたので,
純は,
何だか恥ずかしくなり女から視線を外した。
●○続く○●