この後、人形たちは風呂に入った。
人形たちは全部で約30人。
丸い3つの浴槽に10人ずつ、入るのだ。
「オフロ、キモチイイ」
「ポカポカ」
「シアワセェ」
気持ち良く、湯に浸かる人形たち。
どの人形も…
この上ない幸せそうな顔をしている。
やんちゃな人形たちばかりだけど…
そこはやはり、年頃のレディたちである。
それぞれ…
自分の肌や長い髪を洗う時の仕草は女性そのものである。
ジャバジャバ!
「キャーッ、オユガ、カカッタ!」
「キャハハハハ!」
「オユ、カケッコ!
カケッコ!」
1つの浴槽に入っている10人の人形たちが調子に乗って、お湯の掛け合いをし始めた。
あまりにも激しくやるものだから、お湯が周囲に飛び散ってしまっている。
「キャーッ! カケナイデッ!」
「ヌレル! ヌレル!」
浴槽から上がってタオルで体を拭いていたローズマリーとアリスが大慌て!
この騒ぎで…
人形用ミニチュア浴場は辺り一面、水浸しになった。
ふざけ合っていた10人に対して…
サラは何も言わなかった。
サァ、人形たちの就寝時間である。
パジャマに着替えた人形たちはそれぞれのベッドに入り込んだ。
ベッドは大きな丸カゴの中にスッポリ入るクッションを入れ、その上のシーツを敷き詰めた特製の物である。
人形たちは3つ用意されたそれぞれのカゴに10人ずつ床に入るのだ。
「ダーヤンサマ、オヤスミナサイ」
人形たちは両手を合わせて就寝の挨拶をした。
真夜中…
サラが明かりを手に寝室に入って来た。
勿論、中は静か。
クゥー、クゥー
人形たちの可愛い寝息が響く。
皆、気持ち良さそうに眠ったままだ。
サラはソッと、カゴ1つを手にして部屋を出た。