カゴの中で安らかに寝ている人形たち…
温かい部屋の中で、柔らかい毛布にくるまれて気持ち良さそうだ。
いったい、どんな夢を見ているのだろうか?
おやすみなさい。
可愛い人形たちよ。
しばらくして…
サラが戻って来た。
カゴをソッと元の場所に置いて又、部屋を出て行く。
カゴの中には…
敷き詰められた毛布の上に、10人分のパジャマと帽子がキレイに並べられている。
あの10人の人形たちは今…
超極寒の外は猛吹雪。
廊下の窓から外を見ているサラ。
ずっと以前、ダーヤンから指示された事を思い出していた。
(寝室はしっかりと、暖かくしてよね。あのコたちは寒さにとても弱いから)
サラは言う。
「寒さに弱い? そんなの、アタシが知った事じゃないネェ」
視線の先には…
屋外に建つ2本の鉄柱の間に掛けられた横棒。
並んで、ロープで逆さ吊りされている10人の人形たちの姿が見える。
「イレテーェッ!
イレテーェッ!」
「ゴメンナサーイッ!
ゴメンナサーイッ!」
「サムーイッ!
サムーイッ!」
悲痛な叫び声を上げる人形たち。
浴槽でフザケていた10人である。
おしまい