一人

紫音  2006-07-02投稿
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ぼーんぼーん。
時計の音で目が覚めた。
おじいちゃんの家に来るのもいとこたちに会うのも久しぶりで
興奮しすぎてきっと眠りが浅かったせいだ。
そんなに大きな音じゃないのに目が覚めた。
何かのもう。
そう思って離れの冷蔵庫のほうへ足を向ける。
おじいちゃんの家は結構大きい。
離れまでの道はそんなにないけれど、夜一人で歩くのはいろんな意味で怖かった。
離れについて手探りで電気をつける。
電気なんかつけなくても星の明かりと足元を照らすライトで十分だったけど。
カチ カチ カチ カチ・・・つかない。
そういえばおばあちゃんが電気切れてるっていってたっけ。
早くとって部屋に戻ろう。そう思って冷蔵庫を開ける。
冷蔵庫の明かりがあたりを照らす。
ぽたっ。
何かが水みたいなものが上から落ちてきた。
「ひっ!」
下を見ると冷蔵庫の明かりに深紅のしずくが照らされている。
びっくりして中二階をみるとそこには血だらけの女の子が
鼻の半分ぐらいまでを出してのぞいていた。
下から冷蔵庫の明かりに照らされていて顔がしっかり見えたわけじゃないけど、
とてつもなく薄気味悪くて怖い顔だった。
「助けて・・・・み・・・く・・。」
その子は私の名前を呼んだ。
私は怖くなって叫びながら走って部屋に帰った。
それで怖くて怖くて布団に包まってそのまま目をつぶった。
夜、不安でねれなくなった私は中二階にのぞきに行った。
何かあるとは思わなかったけど、何もないって信じたかった。
たんたんたん・・・。
上に上がってみると何も変わらない。
奥の部屋につながるドアはちゃんと閉まっているし、何か動かされた風もない。
よかった。夢か何かだ。
そう思って例の女の子がいた位置までいってみた。そのとき・・・。
「何してるの・・・。」
びっくりして後ろを振り返った。硬いものでおでこを殴られた。そのまま意識が遠ざかった。

ぼーんぼーん。
時計の音で気がついた。
ぺた ぺた ぺた
誰かがくる。姿が見えた。
「!」
あれは・・・私だ。冷蔵庫を開く。
助けを求めようと顔だけだす。
まだじわじわとあふれてくる血がしずくになって落ちる。
私が上を向いて小さく悲鳴を上げた。
「助けて・・・・み・・・く・・。」
お願い。助けて。私と同じになりたくなかったら、助けて・・・。
でも、私にはわかってた。
あれは私。
たすけてなんかくれない。



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