「此方火星……順調に進んでいますよ。」
「……ウーベンス、よくやった」
「何言ってるんですか?まだ終わってませんよ。あと3ブロックあるんですから。」
「ああ……」
「……」
「そうだ……」
「何ですか?」
「帰ってきたら、あの丘でパンをかじろう……」
「勿論です……博士」
通信は途絶えて、仕事へとウーベンスのクランは戻った。
地球では夜な夜な奇妙なことが起きていた。
それは、あるはずのないクランの遺体だった。
遺体は知らぬ間に研究者の数になり、そして増加していった。
それが意味しているのは、クランの逆襲であった。
クランは少しあいた部屋からでて勝手に行動し、勝手に研究者達を機械にいれて人間に移り変わっていったのだ。
ついに、大統領も体をのっとられ、地球の約4割がクランの人になった。
第一発見者であり、第一の犠牲者は博士であった。
だから、もう通信するものはなにもなくなり、続くのは工事だけであった。
工事は見事成功した。クランになった人達は喜んだ。
一方地球ではクランが人間になった影響で社会の構造や土地の決まりも法律もなくなった。