何歳(いくつ)になっても(16)

内田俊章  2009-01-22投稿
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第16話

純子はイライラしてきた。「賢介とあの人ではなく、あんたの旦那とあの人が、同じ大学の、先輩後輩と言う事が問題なんじゃない!しっかりしてよ!」
雄二は話を続けた。
雄二は、賢介が転勤して来るまで、ここで支店長を務めていた「大橋」と言う人物と連絡を取った。
雄二と大橋は、下請けと元請け、と言う間柄だが、良く気が合い、飲み仲間だった。
大橋は、只野工務店の社長の甥で、賢介の嫁(千恵子)とは従兄弟同士にあたる。そして、雄二たちより、5才上なので、只野家の昔の状況を良く知っていた。
大橋の話によると、千恵子が大学1年の時の大学祭で、名前はハッキリしないが、「朝…何とか」と言う4年生の男と出会い、付き合い始めた。付き合っていたとは言っても、千恵子の家は仕付けが厳しく、交際は認めてもらえず、親に隠れて会っていたそうだ。そして間もなく、その相手は卒業し、銀行マンとなったが、親の目を盗んでは、デートを重ねていたそうだ。
雄二の話を聞いていると、翔子の顔が段々赤くなってきた。
「私は、二股を掛けられていたと言う事ね?うちの主人が、私に初めて声を掛けて来た時『元カノは居たけど、今はいない』なんて言って!私を騙していたんだ!」「絶対に許せない!」純子も怒りが込み上げてきた。雄二は二人をなだめながら、続けた。「まあ、まあ、二人とも落ち着いて!その男が、翔子の旦那と決った訳じゃないから!それに名簿を見ると、翔子の旦那の同期に『朝妻伸也』と言う人もいるし…」
翔子と純子は、俊章を「黒」と決めつけていた。
翔子が、俊章と結婚した次の年の正月に、賢介と千恵子が初めて出会った。賢介はその時「彼女には、彼氏がいるが、社長が反対していた」と言ってた。「それって、うちの主人の事でしょ!私と結婚して、半年後の事よ!あ〜あ、ムカつく!純子!どうしたら良いの、私」「私にも分からない!」「裁判所に訴える?離婚調停とか?」「ちょっと待てよ、二人とも!翔子の旦那と賢介の嫁が、会っていたのは事実でも、浮気の現場を見た訳じゃ無いんだろう!それに…」「それに、何?」翔子が聞き返した。「俺も純子も共犯になっちゃうけど、クラス会の時の事、もし旦那が知ったら、何て答える?」「だって、あの日は何も無かったもの!」とは言ったものの、翔子にも後ろめたい事が有るのは事実だった。それでも翔子は、(真実が知りたい!)と思った。

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