「だってさ、死に逝く人が事情を全く知らないってのも可哀想だろ?」
「…」
――つまりは生きて帰す気がないと言うわけか…。
誠は冷静に今の状況を分析した。
状況は最悪。此方は手負い連れ。相手は無尽蔵の兵器。片腕を失ってなお余裕を浮かべている処を察するにまだ何か力を持っているのか、それともハッタリか。どちらにしても一番の選択肢は…やはり。
「…っ……」
…やれやれ。
「そんな声出すなよ慎弥君、大丈夫」
ニコリと誠は微笑んだ。
「絶対に生き残って遼君達とまたお茶会でもしよう!」
「…?」
何かがオカシイ…。
何かが…違う。
「――!」
声が…出ない。
さっきの影響か…!
「――――」
誠さんっ…。
「おっと逃げる気かい」
「ああ、分が悪いんでね。ささっと逃げさせてもらうよっ」
剣を構えながら誠はゆっくりと後ずさる。
「逃がすと思うのか?この数が」
そう言う男の周辺には少なく見積もっても四十の人形が佇んでいた。
「当然、逃げられるさ」
スッと誠は慎弥を地面に横たえた。
「この子はね」
「!」
えっ…!
「――水想」
その詞と共に慎弥の身体は丸い球体の様なものに取り込まれた。