エンブレム〜序章〜?―?

S・U  2009-01-22投稿
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「くそっ!くそっ!」
俺は何度も膜に蹴りを加えるが膜はフヨフヨ揺れるだけで壊れることはなかった。
「くそ…っ!このっ!」
動くようになった右腕でも膜を叩くがそれでも膜は破れなかった。
ただひたすら時間だけが過ぎていった。
「畜生、この中じゃ武具も出せねぇのかっ」
何度も自分の右腕に念じを掛けるが紋章は全く光ろうとしなかった。
そうして、殴る蹴るという行動を十分ほど繰り返した時だった。
「くおのっ!――うわっ」
膜は拳が当たる寸前に破れた。標的を失った拳は空を切り俺は勢い余って地面を転がった。
「ててて…、何で急に…っ」
頭をさすりながら周りを見て俺は絶句した。
「何だよ…これ…」
人形…人形…人形…人形。
全てが消し炭のようになった肢体の山が彼方此方に積み上げられていた。
「…っ」
嫌な予感がした。
「誠さんっ!」
俺はその山の中を駆け抜けるように走り誠さんの姿を探した。
地面に転がる肉片を踏み散らし、転がる頭を蹴り砕き、靴が赤く染まるのも構わずに、その姿を探した。
――絶対に無事だ!
ただ…それだけを信じて。

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