エンブレム〜序章〜?―?

S・U  2009-01-22投稿
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誠さんの姿は空が白み始めた頃、九つ目の人形の山の場所で見つける事が出来た。――だが、それを誠さんとは思いたくはなかった。
「…ねぇ」
それは、とても元は人間だと思える形状ではなかった。
髪の毛はむしられたかの様に縮れ、眼球が収まるべき場所にはナイフが六本ずつ突き入れられていた。右腕は輪切りされ皮一枚で連なるようにぶら下がり、左腕は肘から先がなく肩には刃物が三本刺さっていた。そして、残り全ての箇所には無数の針が覆うように刺さっていた。
「…違うよ」
――これは、ただの肉片だ。人間がこんな風に破壊されるわけ無いじゃないか。
「そうだよ…これが人な訳無いじゃないか」
誠さんは何処に居るんだろう。全く、あの人は本当に人を脅かすのが好きなんだな。こういう処が子供っぽいんだよな、あの人。
「あはは…はは…」
………。
「ねぇ…誠さん。そろそろ出てきて下さいよ…。もう俺にこれ以上場を延ばすことは出来ませんよ?」
………。
「あはは…はは……はは…ははは…」
………。
――幾ら逃避をしても…。
「あ――はは――」
――現実は。
「――ぁあぁ…っ」
――残酷だ。
「あああぁああぁっ!!」



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