わざわざ、こんな辺境の地まで調査に来て頂き真に恐縮であります。
前置きはいい、被害状況を簡潔に述べろ。
はっ…、被害総数は一般、軍部合わせ400人。
ここの人工の約9割が殺害された事になります。
家屋の被害は…ご覧の通り全てが全壊です。
…生存者の安否は?
現在21名の生存者は全て、我等第十七支部が保護しております。
そうか……ところで、ここの責任者は君だったか?私の記憶違いでなければ確かここの責任者は…。
……。
どうした?
少佐は…柊誠少佐は…。
*
「…」
真っ直ぐと廊下がのびている。スリッパで歩くとあの独特の音が小さく反響した。
「…」
――無事で安心したよ、慎弥。
遼は俺を見てまずこう言った。母親以外の家族を全員失ったのに、笑顔で出迎えてくれた。
でも、その目が赤く腫らして見えたのは、見間違いじゃなかっただろう。
――死んじゃった…皆、死んじゃったよぉ…。
そう言って怜は俺の腕の中で泣いていた。守れなかった…守れなかった、と呟きながら。
俺はその肩をただただ抱くことしか出来なかった…。
怜の両親は二人とも無事だった。――あくまでも身体は…だが。