野沢祥子が『明日の私』を歌い終わるとスタジオに張り詰めていた緊張感が解けた。
「OK,完璧だ。」
古賀が一つ手を叩いた。
野沢はブースから出て来て古賀の反応をじっと待ってる。
「最高だ。これはいいものが出来た」
「ありがとうございます」野沢は頭を下げた。
「今日はここまでだ。お疲れ様」
「お疲れ様です」
「まだ始まったばかりだ、気を抜かないで、また明日からだ」
はいと野沢ははっきり応えた。
「では、渡辺あとは頼んだぞ、俺はこれで」
そして古賀はスタジオを後にした。
残された野沢は確かな手応えを感じていた。プロデューサーが古賀であることに感服していた。