ガンザンダン Dside 3

MR,T,S  2009-01-22投稿
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予想できていなかった事態。

エルドの予定ではまだ逃げ回っていなければならなかったが、汽笛はそんな彼を尻目に街中を高らかに鳴り響いた。

(鳴っちまったか)

彼の後ろからは相変わらず怒号が追う。

(追い付かないな、これは)

頭の中でそう判断するも、だからといって素直に捕まるわけにもいかない。どうせ捕まるのなら最後まで走り抜けていたほうが良いだろう。

退路は断たれたが、結局のところ彼は走ることにした。

「はあ・・はあ・・・・・・はあ・」

不規則に吐かれる息は白く曇っていた。

(そう言えばもう冬か)

この世界にも四季がある。春には花が咲き、夏には生命が栄え、秋には実り、冬には散る。ここ第十五区間は比較的暖かいところではあるが、息が白くなる程度には冷え込む。

(あいつと最後に仕事をしたのは何時だったか)

あいつとはダラードのことだ。

(確か、第二十三区間のギャングどもを爆発したのが最後だから・・・三ヶ月前か)

考えているうちに妙な気分に陥り、とりあえず空を少し見上げた。

(あいつはいつもこうだった気がするな)

段々と心がしんみりとし、懐かしむ心が湧き始める。

(仕事のときは良い奴のくせに、迷惑だからと言って俺を突き放す。全く自由な奴だ・・・その上ピンチになったら助けを呼ぶ。俺は正義のヒーローでもないってのによ・・・)

しかし、沸き上がっていた感情は、一瞬にして色を変えた。

(・・・自己チューが・・・絶対殴ってやる)

意味合いとしては決して怒りではなく、友情の一種に近い。

(だから・・・だから・・・)

「絶対そっち行ってやる」

どこか覚悟が満ちる言葉も、やはり後ろから聞こえる怒号に掻き消された。



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