過去
葵サンと弘樹は、前付き合ってたんだって。
だけど、葵サンのいい加減な気持ちとワガママな所が嫌いになって別れたんだって。
「奈緒?」
「あ、ごめん」
「なんかあったらすぐ言えよ??」
「うん♪ありがとう」
無理矢理笑顔を作ったけど、弘樹は気付いてたのかも。
ちゃんと笑えてたかなあ…?
ひきつってなかったかな……。
「あ、」
沈黙を破ったのは、弘樹だった。
「俺ちょっと用事があったんだ〜…またな!」
慌ててた。
そんなに急ぎなのかな………。
だめだめ!!
人を疑うようなこと、
したくないから…
「奈緒、ちゃん」
「葵サン…?」
「ちょっといいかな?」
「…ハイ」
葵サンに呼ばれて、
中庭に行った。
「…あたしね」
葵サンは、震えた声で言ってくれた。
「弘樹の前に、ずっと好きだった人がいたの」
「え…?」