「あぁ。そうか。あなた、ノイザーだってことはわかってたけど、・・・音を操る力を持ってるんでしょう?ってことは、音に敏感でなければならない。それは逆に言えば、通常の人間なら気付かない激しいノイズを聞き取ってしまうってことよね・・・。ふふ。滑稽だわ。この私の羽音にまいってるのね・・・あのかわいい女の子は全然平気なのに。」
「・・・めろ・・・っ」
ウィルは消えそうな声を吐き出した。
「なあに?」
「飛ぶ・・・っ・・・のをやめろ・・・・っ!!」
ウィルはまた、汚物を吐く。マリアは何も言えず、ただ涙を流した。
「ふふ・・・・ほんとに滑稽だわ!やめてほしい?羽を止めてほしい?」
クリスはわざとウィルのまわりを飛び回る。
「私はただ飛んでるだけ。なのにあなたは・・・ゲロと血でびちょびちょ!!」甲高い声でクリスは笑った。かと思うとすばやくウィルの髪をつかみ、ぐっとクリスの口元に近付けた。
「飛ぶのはやめないわ。あなたがそうなってるのは全部あなたのせいなのよ?あなたの力不足で私のノイズを操りきれてないだけのよ。」
そう言うと、思いっきりウィルの頭を地面に叩きつけた。そして笑い声をあげながら、また姿を消した。
ウィルはそのまま、気を失った。