「マジか!?」
ミスドで慶吾は叫んでいた。
「マジですよ。」
河野がにやつきながら言った。
「やったじゃねぇか!マジで嬉しいよ。」
慶吾は心底嬉しかった。
柔道部だった河野にラグビー部からの誘いに乗ってみてもいいんじゃないかと、ラグビーを進めたのは慶吾だったからだ。
慶吾はホントは河野に柔道を続けてほしかったが河野にはやってみたいことをやらせてやりたかった。
仲の良い後輩だったからだ。
「俺柔道好きだったから、辞めてラグビーにいって、これもあんまりうまくなれなかったら柔道やめてまで来た意味ないと思ってたんです。だから推薦もらえたときは本当に嬉しかったんです。だから慶さんにはすぐにでも話しときたかったんですよ。」
「そうか〜。ホントによかったなぁ。」
そこから少しの間、話をしてミスドを出た。
「ありがとうございました。俺が誘ったのに、ミスドまでおごってもらって。」
「気にすんな。ちょっと安いけどよ。俺からの推薦祝いだ。」
「それじゃ、また」
「おぅ、んじゃあな」
そう言って別れて帰路に着いた。
あっ、彰太に携帯番号聞いとくか。家の番号しか知らねぇし。
慶吾はそう思い、後ろを振り返った。
あれ?彰太のやつ、もう行ったのか。
そう思いながらよく見直した。
河野らしきやつが三人組と路地の方に入って行くのが見えた。
慶吾は反射的にそこに向かって走り出していた。
路地に辿り着く。
たったさっきまで元気に推薦のことを話していた河野が殴られて倒れていた。
さらに腹部に蹴りがとぶ。
おい、やめろよ。
そいつ、推薦かかってるから殴り返せねぇんだよ。
こいつの人生、なんだと思ってんだ!!!
慶吾は全力で三人組に向かって走り出した。
「てめぇら、何してくれてんだ!!!」
三人組の一人に殴りかかった。