タイミングジャーニー

ピヨ  2009-01-24投稿
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それまで私はタイミングという言葉が 大っ嫌いだった。
タイミングによって物事が決まるというすごく受動的な感覚がしっくりこないし、自分でなんでも変えられる と 思っていた。

だが、現実に物事は時間と平行して、タイミングによって動いている。
およそ1年間同棲した彼から、別れを切り出されたのは1週間前のこと。
その日まで、普通に平穏な毎日を送っていた私にとって彼からの別れの切り出しは あまりにも衝撃的で、現実を受け止めるまでしばらくかかった。

嘘かと思う程、彼は毎日優しかったし いろんなことを語り合ったり たまには喧嘩もした。

別れを受け入れた今、彼の変化に気付けなかったことを、今更ながら悔いて悔いて拭っても拭っても目から熱いものが込み上げてきてしまう。


半年前、彼の会社が倒産した。不況のあおりをリアルタイムで受けたらしく、私は仕事の最中に 彼からの電話で解雇を知った。

私が涙声で「2人で頑張っていこう」と言うと 一瞬顔が歪んだが、「大丈夫大丈夫。俺楽観的だから」と 笑顔で答えた。
運良く 次の仕事がなんとか決まり、しばしの間 またたわいもない 日常が過ぎた。

12月。師走の風が頬をかすめる頃、 彼は再就職先の会社からリストラの告知を受けた。よりによって、同業他社の会社もまた 経営が傾きかけたのだと言う。

彼はまだ社会人3年目。まだ社会で何かを学び始めたばかり。

私は彼の苦しさを悟り、彼を支え 少しでも元気に過ごせるようにすることが使命だと思った。やがてそれはちょっとした生きがいにもなり、
私はそんな毎日でもとても幸せだった…

だが、彼には全てが重荷になってしまった。まだ若く野心も不安もあり、将来のことなど全くかんがえられない状態で、更に職を失った彼。
精神的に繋がっていると思っていたのだが、どこかで歯車が噛み合わなくなっていった。ただ確かなのは歯車のスピードが上がっていってしまった事。
「好きだ。でも今は自分のことで精一杯。もう迷惑かけたくない」声を震わせて彼は言った。私は何も言えなかったが彼を愛しているから別れを選んだ。
つまりはそう言うタイミングだったのだ。
彼は1人きりになって考えたかっただけ。年が上で結婚願望の強かった私との タイミングがずれたんだ。

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