エンブレム〜序章〜?―?

S・U  2009-01-25投稿
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「いや、まさかこんなに早く取り返してきてくださるとは思いもしませんでしたよ。ホントに有難う御座います」
如何にも研究者面をした白髪の男はブースをなぞり見ながら笑顔で隻腕の男に話し掛けた。
「…別にそんな事で礼を言われる筋合いはないさ。此方は依頼を遂行しただけに過ぎないからな。だが…」
若干不機嫌な表情を作り、男は隻腕となった右腕を動かした。
「割りに合わなさすぎるぜ、この仕事。右腕だけならまだしも、製作品を七千も破壊されちまった。追加料金派生させるぞこの野郎」
男が毒を吐くと研究者は意地の悪い笑みを浮かべた。
「おや?何があろうと追加料金を派生させないのが貴方のポリシーではなかったのですか?」
「チッ…」
その言葉に男は悪態をつき焼失した右腕の製作を開始した。
だが、実際彼は欠片も苛ついてなどはいなかった。
それどころか内心では発狂せんほどに心踊っていた。
『夜が居た』
まだ生き残りが居た。
まだ“化け物”の生き残りが居た。
最高だ…っ!まだ、この世界は最高でいられるっ。
「――っし…出来た…」
そう言う男の手には倫理観念を破るか破らないかと言うほど精巧に作られた人形の腕があった。

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