「っ！」
ミリスは冷徹な態度をとるロザラムから目を逸らすと、強く唇を噛んだ。
「ロザラム…」
エミリアはその様子を見て、目から涙を溢れさせ、手で顔を覆った。
「…くっくっく…」
「！」
低い笑い声を聞いて、その場にいる全員は一斉にフードの人物に目を向けた。
「何がおかしい？」
ラトは怪訝そうな表情で、フードの人物を見た。
「…いや…いいご身分だなと、嘲笑ったまで。…これからここに居る全員が、ただの肉の塊と化してしまうというのに…」
「えっ！？」
ミリスは何かを思い出したような表情になって、フードの人物をまじまじと見つめた。
「…まさか、その声…」
「声？」
ロザラムはミリスの言葉にを聞いて、思案を巡らせると、目を大きく見開いて、フードの人物を見た。
「…お前…！」
「くくく…」
フードの人物は低く笑うと、顔を覆っているフードを外して、身体を覆っているマントも脱いだ。
「あっ！」
ミリスとエミリアは驚愕の表情で、思わず声を上げた。
「…」
ロザラムは顔を歪めて、ぎゅっと唇を噛み締めた。
「…ロザラム。私はこの者を見た事があるが…。その者と今ここに居る者とは同じ人物か？」
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