緋里と奈々はクラブバーを出て駅の改札口で別れた
今夜は少し肌寒いかった
夕立が降ったせいでホームは鉄の錆びた臭いがした
緋里はバックからストールを取りだし肩に巻いた
しばらくするとメールが届いた
「さっきはハンカチありがとう 来週の日曜日駅前で会いませんか?」
緋里は嬉しかった
「はい 分かりました」
月が綺麗な夜だった
緋里は駅前の噴水の前で待っていると息をきらして洋介が来た
「ごめん 待った?」
「私も今来たの」
「映画館でも行かない?」「うん!」
ゆっくりと歩きだした
お互い何も知らないので変な距離があった
洋介が車道側に立ち緋里に話しかけた
お互いの事を喋っていると映画館に着いた
日曜日だというのに中は空いていた
スクリーンのよく見える席に二人並んで座った
映画館の中は真っ暗で世界が二人だけになったようだった