「結局、昼休みも中級クラスのやつと一緒にグランドでサッカーしちゃったよ…」
午後の授業中、俺が一人ため息をつくと後ろの席の安田が俺の背中をつついてきた。
「ん?」
「もしかして月原さんのこと考えてる?」
俺はほんとに安田が苦手だ。いったい俺のどこがそんなに好きなのか…。
ユキちゃんがこれくらいしつこくなってくれるとものすごい嬉しいんだけどね。
「私、相談に乗ろうか?月原さんと原田さんが平井君の話してるの聞こえちゃって‥‥。ま、別にいいんだけどさ。」
何だこの話し方は‥‥気になるに決まってるじゃねーか。
俺が返答に困って固まっていると、いつの間にか先生が目の前に立っていた。
「‥おい。平井。愛を囁き合うには早過ぎるぞ。」
おいおい。余計なこと言うなよハゲ親父。
案の定、クラスのやつらは俺をからかった。
「マサ。浮気すんなよ。」
浮気なんてするわけねぇし、相手が安田なんて持っての他だ。
俺はため息をつき窓の外を見た。
あ〜、ユキちゃんに早く会いてぇ〜。
合宿という非日常的な状況の中には非日常的な何かが起こるんじゃないかと、不安よりも期待が膨らんでしまうのは俺だけだろうか。