雨が降ってきた。
私は面倒だと思いながらも、折りたたみ傘を出そうと鞄に手を入れ……
「なに、お前、傘ないの?」
上から声が降ってきた。
「え……。……うん」
「半分入れてやるよ」
「……ありがとう」
――――。
ねぇ……。ごめんね?
貴方の左肩が凄く濡れてるの、気付いてるの。
でもね。
貴方の右手があたたかくて。
貴方に触れてる左手が嬉しくて。
もう少しだけ このまま――。