帰って来た母さん(前)

ぐうりんぼ  2009-01-29投稿
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 俺は祐介。

 夕食時、母さんと口喧嘩した。

 ほんの些細な事で、いつもの事だ。

 入浴を済ませ、寝る前のひとときを過ごしていた時だ。

 突如、隣の部屋から…

「オェーッ!」

 と言う母さんの叫び声が聞こえて来た。

「何だァ? まーた変な声出してから」

 と、思いつつ俺は気にも止めなかった。

 ところが…

 別室でテレビを観ていた親父が風呂場の方へ行った。

 するとだ…

「祐介! 祐介!」

 何だか親父、慌てている様子だった。

 すぐに、風呂場へ行ってみる。

 浴室内で目にした光景は…

 湯船に浸かったまま、仰向け状態でグッタリしている母さんの姿。

 顔中、血だらけで、意識はないようだ。

 急いで母さんを引き上げるが、体の重い事!

 力を踏ん張って、何とか母さんを床に寝かせる事が出来た。

 急いで119番に練習する。

 救急車で搬送された先は某大学病院だ。

 かなり長い時間、待たされる。

 診断の結果、脳内出血と分かった。

 そう言えば母さん、血圧が高かったっけ。

 先生の説明では…

 もう、助からないとの事。

 すぐに俺はケータイで親父に連絡した。

「母さん、助からないんだって」

 と、俺は状況を話した。

「あ、そうか」

 親父の素っ気ない返事である。

 冷静と言うか…

 母さんの深刻な状況を、別に気にも止めていないって様子だ。

 後から兄夫婦が来て再度、先生の説明を聞く。

 深刻な状況に兄の表情は暗い。

 入院手続きを済ませ、俺は一旦帰宅した。

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