「これは本当の事よ。何なら、闇の力を発動してあげましょうか?」
ユミナはそう言うと、闇の波動を身体の中から放出して、剣の周りをそれで覆った。
「…何て事だ…。これでは光か闇かで判断出来なくなるではないか…」
ラトはその光景を信じられない思いで見つめながら、小さく息を吐いた。
「さて、そろそろ本来の目的を遂げるとしましょうか…」
ユミナはにやりと笑って、剣の切っ先をロイの方へ向けた。
「ロイ・ウィンストン。前へ来なさい」
「え…?」
ユミナからいきなり名前を呼ばれ、ロイは驚きの表情で彼女を見た。
「私の顔と名前、覚えてないとは言わせないわよ」
ユミナはロイを睨みつけると、苛立ったように剣を凄まじい速さで振り下ろした。
「顔と名前…ユミナ…」
ロイははっとしたような表情で、ユミナの顔をまじまじと見つめた。
「思い出したようね」
「…まさか…ユミナ…姉ちゃん…!?」
「そうよ。久しぶりね、ロイ」
ユミナは満足そうな表情で、頷いた。
「っ…」
ロイは真っ青になって、膝を震わせながら後ろに下がった。
「あら…何をそんなに青くなっているの?幼なじみのお姉ちゃんに会えて、嬉しいでしょう?」
「く…」