――ゆき
彼と出合ったのは、1年前。わたしが、中2で彼が、中1のとき。
生徒会のメンバーとして呼び出されたとき。
卒業生を送る会、通称卒会の仕事分担をするために、来年の生徒会メンバーが生徒会室に集まった。『会長の山崎太郎(やまざきたろう)です。まだまだ仕事が不馴れで、迷惑をかけると思いますが、よろしく』と来年の会長が自己紹介をした。
後に続いてそれぞれが自己紹介をしていった。
『副会長の小牧かよ(こまきかよ)です。よろしく』
『書記の岡田ゆき(おかだゆき)です。よろしくお願いします。』
『書記の山沢亮(やまさわりょう)です。よろしく』
『会計の稲葉空(いなばこう)です。先輩の足を引っ張らないように頑張ります。よろしくお願いします。』
『会計の斉藤由紀(さいとうゆき)です。よろしくお願いします。』
一通り自己紹介が終わった。
これが、わたし―岡田ゆきと彼―稲葉空との出会いだった。
この頃のわたしは、メガネにポニーテールで、第一印象は、地味とよく言われていた。
彼もそう思っていたと思う。
恥ずかしい。なんでもっとしっかりした格好をしていなかったんだろう。
まだ、恋に気付く前のことだから、しょうがないのだけれど．．．。
そして、もう一人の彼がわたしを見ていることも気付いていなかった。
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