――空
昔から、よく言われていた。『おまえって、悩みなさそうだよな。』
あの日も、同じことを言われると思っていた。でも岡田先輩は、違った。初めて俺のことを分かってくれる人を見つけた。
その時から特別な存在になった。
《新生徒会は、生徒会室に昼休み集まって下さい。》
放送部の声が聞こえた。
これから、生徒会の集まりがある。俺は、少々...いやかなり機嫌が悪かった。生徒会会計としての仕事は、会長の山崎先輩に押しつけられたのだ。近所でよく遊んでいた仲ということで指名されたのだ。
自己紹介が始まった。俺は自己紹介をすました後、耳と目を閉じて考え込んだ。
そして結論は、『頑張る』であった。中途半端が大嫌いで世話好きな俺らしい、結論だったと思っている。
『次の集合は、今日の放課後☆詳しく卒会のことをきめるわよ』
小牧先輩が、ウキウキした感じに言った。
山崎先輩といま付き合っているんだそうです。それで、嬉しいんでしょう。
俺は、まだこの時気付いていなかった。
あの先輩とライバルになるなんてことは...。
――亮
オレは、昔から一途な男だ。好きなマンガも好きな食べ物も好きな歌手も小学校の頃から変わっていない。
勿論、好きな女も。
オレは、岡田ゆきが好きだ。
あいつとは、保育園からの付き合いで今まで一度もクラスが違ったことはない。
ゆきの前では、いつも思ったことと反対のことを口にしてしまう。
こういうのを典型的というのだろう。
ゆきがオレのことをどう思っているかは、分からない。
オレは、少しでもあいつのそばにいたい。だから、生徒会の書記になったんだ。太郎とは、中1のときから同じクラスで、わりと仲がいい。
太郎に相談しても、自分ののろけ話ばっかり。
オレ、このさきどうしよう...。
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