俺はとても幸せだった
バンド時代一緒に仕事した仲間に裏切られてから、もう普通に暮らしていけないと覚悟していたが
支援までしてくれた兄貴のおかげで、職をみつけ結婚もし息子まで授かった。
幸せだった
バンド時代 ウハウハに暮らしていた時に比べたら
給料もたかが知れているが、なんとも言えないほどの幸せに俺は毎日申し訳ないぐらいだった。
時は昭和46年
「パパぁ いってらっしゃい!」
栄治
「あぁ 今日はお前の誕生日だ さぁ パパは何を買ってこようかな?
ケーキ? それともおもちゃ?何か欲しいものはあるのかな?」
勇治
「ゆーたんねぇ うるたぁまんのぉ人形いい!
ケーキも〜!」
栄治
「ママとおりこうさんしていたら 両方買ってきてやろうな!
じゃ 勇治、行ってきます」
手を振る勇治、
それはどこにもある 父親とその息子の朝の光景
勇治は今日3才の誕生日を迎えた。
後輩の坂根
「長沢さん 今日一杯どうっすか?
駅前に 美味しい焼き鳥屋ができたんすよ
お持ち帰りもできるみたいっすよ 奥さんと勇治君にどうです? 焼鳥」
栄治
「今日は息子の誕生日でね、早く帰るって約束しちゃったんだよな」
坂根
「まだ 5時っすよ〜 長沢さん車だし 駅から10分もないじゃないですかぁ
ねっ 一杯だけ 行きましょう!」
まぁ、誕生日に焼鳥もいいかもな
一杯呑んで、土産に焼鳥、ケーキにウルトラマンかぁ
あいつも喜んでくれるだろう
なんて、笑みを浮かべ
半ば強引に 後輩の誘いに駅前の焼き鳥屋『鳥一』に行くことになった
続く