「はあ〜…」
男はやれやれと言った調子で溜め息を吐いた。
「ま、あんたがいいってんなら此方も全然構わないんだがな」
男がそう言うとそれが癪にさわったのか研究員は声を荒げた。
「一体何時までそんな戯けたことを言う気ですかっ!良いからさっさと私の目の前から――」
ズ―――――ンッ。
突如二人の足下から雷鳴のような爆音が鳴り響き研究室を僅かに揺らした。
「――な、何だ今の音はっ!?」
その音に驚いた研究員は声を上げ、側に合った連絡具に飛び付いた。
「来たか…っ」
そう言う男の声は何処か弾んでいた。
「おいっ、何があった!今の音は一体なんだ!」
研究員は何度も連絡具に声を掛けるがそこからはザー…ザ…ザ…ザー…、という雑音だけが返ってきた。
「どうしたっ!返答の義務を果たさんか馬鹿者!こらっ!」
ド―――――ンッ
「ひぎゃあああああっ!!」
再び起きた大きな音と共に呼び掛けていた研究員の足下から火柱が出現し彼は灰すら残らないほどに焼かれ消滅していった。
「全く…だからもう一度雇わないか?と聞いたのに…」
そう嘆くように呟き男はブースを見た。半透明の壁に仕切られたそれの中には一つの影があった。