「え、なに言ってるのお兄ちゃん…」
「二度とこんなこと起こらないようにするって、誓ったのに…。」
ウィルのその小さな声は、風に紛れ、マリアの耳に届くことはなかった。
フィオナ、いや、クリスが街を破壊する数分前。ジュードはロードタウンの外れにある並木道に一人たたずんでいた。片手には丁寧に包まれた絵を持って。
ドォォオオン…ッ
重く、鈍い音が街の方から聞こえた。
ジュードは振り替える。 彼の視界に、ロードタウンの建物が崩れ、煙があがっている光景が映された。「えっと、なんだろうな、これは…」
頬をつねる。
痛い。夢ではない。
「これは現実ですよ。」
そこへやってきたのは、医者のドクタージニーだ。
「あ、ジニーさん。やばくないすかあれ…」
まるで他人事のように、ジュードは指を指した。
「いいえ、あれでいいんですよ。全て予定どおり。」ジニーは口元をつりあげた。
「は?予定どおり?」
「そんなことよりも、注文した絵の方は、できたんでしょうね?」
ジニーは強引に話を進めた。ジュードは絵を見せるため包みを丁寧にはがす。