俺は安田の言葉に頭が真っ白になった。
確かにいつも俺から会いに行くし、俺から話しかけるし、俺から電話もする。
俺とユキちゃんの距離がなかなか縮まらないのは二人の気持ちの重さが違うからだったのか‥‥。
隣の安田は他の話題を話してるが、全く頭に入ってこない。
「おい、マサ。飯食いに行こうぜ。」
タケに声をかけられ我に返った。いつの間にかユキちゃんの姿は消えていた。安田はやっと離れてくれた。
「マサ、あのさ。今夜さ、トイレ行くふりしてエリと会おうと思ってんだけど、マサどうする?エリに言って月原さんも呼んでやろうか?」
「‥‥はいッ?!」
俺はパニックになってる。それは自分でもわかってる。いつもの俺なら「是非とも!」と即答していたはずだ。でもさっきの話が気になった。
「マサ?お前どうした?夜に彼女と会えるんだぞ。」
「あ‥あぁ、うん。…うん。呼んで…ください。」
「お前、勉強しすぎて頭おかしくなったんじゃねーの?」
タケと原田カップルのおかげでユキちゃんと付き合えるようになったんだ。タケには心配かけたくない。
それに今日はまだユキちゃんと一言も話してない。不安もあるけど、とりあえず安田の言うことだし気にしないようにすることにした。