時間が過ぎるのが早かった
会話は思いの外弾んで
4人は時が過ぎるのも
忘れていた
「お楽しみのとこ、ごめんね
今日はそろそろ閉めるんだ」
マスターの声がした
その声が、違う世界から
現実の世界にアタシを連れ戻した
今のアタシには酷だった
もうサヨナラしなきゃいけない
イヤだ。やっと会えたのに。
もう気付いてた。
アタシ仁に惹かれている。
初めて会ったばかりなのに
もうずっと前から近くにいた気がして
仁の謎めいたとこに
アタシは夢中にすらなりそうだった
ううん、今思えば
あの時もう夢中だったのかも
「じゃあ今日はお開きだなー
仁、帰りは俺運転するよ
今日飲んでないからさ。」
「おっサンキュ。
めぐちゃんたち送ってくよ
洋介の運転だけど。いいかな?」
「ありがとうございます
お言葉に甘えさせてもらいます」
4人は会計を済ませ
車まで歩いて向かった
黒いワゴンは
仁の車だった。
「ごめんね、汚いけど、どうぞ」
「「お願いしまぁす!」」
4人は乗り込み、
洋介は車を出した。
もうお別れなんだ…
アタシは窓の外を
ずっと眺めていた