ユミナは鼻で笑いながら、答えた。
「だから逆に殺すのが惜しくなったのよね。彼が強くなってからもう一度戦うっていうのも悪くないか…ってね」
「…なるほどな。だが、事ここに至っては彼を殺すしか無くなった…と」
「まあね。こっちはどうせ使い捨てみたいだし」
ポリポリと頭を掻きながら、ユミナは一つ小さく息を吐いた。
「それと、そこにいる…エミリア…だっけか。情報ありがとう。取り逃してしまったけど、ライルと戦えた事に関しては礼を言っておくわ」
「!」
エミリアは身体を震わせて、ユミナから目を逸らした。
「…姉さん、どういう事?」
ミリスは不思議そうな表情でエミリアを見た。
「ふふ、何も知らないみたいね。彼女はね、私へ情報提供する代わりに、家族とロイの助命を申し出たのよ」
「なっ!?」
ロイ、ミリス、ルイス、リリー、ロザラムの五人はそれを聞いて、思わず声を上げた。
「ユミナ、助命までは知っているが、情報提供に関しては聞いていないぞ!どういう事だ!?」
「助命嘆願を容易に私とグラムが聞くとでも思っているの?あんたは彼女を汚したくなかったみたいだから、この件に関しては伏せておいたのよ」
「…何という事だ…」