人は必ず翼を持って生まれてくる。
みんな十人十色の翼。
鳥が飛ぶことを知っているように、人もいずれ飛び立つ。
けれど、人は鳥とは違う。途中で墜ちてしまうかもしれない、
はばたけないかもしれない、飛び立てないかもしれない。
それでも、人はリスクを背負って飛ぶ。
当然、ひとりじゃ飛べない。そこで他人の翼を借りて、
そして時には、他人の翼の支えとなって飛ぶ。
人は飛び立てる、はばたける、墜ちる事無く飛び続ける…。
――人はちゃんと、風になれる。大空を自由に舞うために。
「只今の組の結果が出ました。只今の5組、1着は――」
再び、今度は祝福のための歓声が、客席から沸きあがった。
――今日は鳥が、気持ち良く飛ぶ――。