――ゆき
男の子は、怖かった。何を考えているのか分からないから。
中学生になると、みんな背が高くなって、声も低くなって変わっちゃうから。
亮は、大丈夫。ずっと一緒だから、男っていう感じがしないんだよね。
好きな人できるかな?
『12時ノ鐘ガナッタラ、帰ラナクテハナリマスン。ソレマデ、コノママデシサセテ下サイ。』
『ゴーンゴーンゴーン』
『アッ、帰ラナクテハ...。』
『はい、カットカット。ゆきくん。もうちょっとナチュラルにセリフを言いたまえ。こう、恋する少女のように揺れ動く心を表現するのだ。空くんも、もっと王子の切ない視線でシンデレラを離したくないという感情をだすのだよ』
練習が始まった。早速、指摘されている。こんな、恥ずかしいセリフを話せるはずがない。
しかもみんなが見ている。恥ずかしい。稲葉くんと踊って手を握って見つめあわなければならない。初体験ばっかりで、戸惑っています。
『では、次のシーンをしよう。そこのシーンは、2人で練習していたまえ。では、継母と義理の姉の悪巧みのシーンを。亮くん、かよくん、さぁ演じてくれたまえ。』
ふ、ふ、ふたり!?
『先輩すいません。俺、足引っ張ってばっかりで。今のところもう一度お願いできますか??』
『そんな事ないよ。わたしだって、ガチガチでもう...。じゃあ、いき..わぁ』稲葉がわたしの腰に手をおいた。ダンスは、本格的に踊る訳ではないが一応練習しなければならない。『じぁ、いきます。1・2・3・1・2・3...。』
ドキドキ。
わたしの胸が踊りだした。
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