4-? 夏の訪問者
『好きです。』
粋乃のこの言葉が何度も純の中で繰り返される。恋愛にうとい純にとってこれは未知な言葉だ。
『私は,恋と言う物をまだ知らない。』
純は粋乃に言った。
『だから,好きとはどういう感情なのかも分からない。でも‥』
『でも?』
『もし私がそれを知る事が出来たなら,まず一番にあなたであって欲しいです。』
粋乃はそれを静かに聞いていた。
『私のそばに,居てくれませんか?私が,自分の気持ちに気付くまで。』
純はどこかでそれを願っていたのかもしれない。
恋の感情がまだ分からない純は,ただ粋乃にそばにいて欲しいと思った。
粋乃はホッとした様に笑った。
『はい,勿論ですよ。私で良ければ。』
純はそんな粋乃を見て心が満たされるのを感じていた。
○●続く●○