○●純+粋な恋●?

沖田 穂波  2009-02-01投稿
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4-? 夏の訪問者


今日も粋乃は純を見舞いに来た。

『具合はどうですか?』
『変わりないです。』

粋乃への気持ちに気付いた純は,粋乃の美しい目を直視することができない。

『どうかしました?』

粋乃はいつもの様に純に微笑みかけた。

『ぃ,いえ何も。』

『でもどこか変です。』

純の側に正座しながら言った。

『そんな事は‥。』

『いいえ,変です。
 だって‥。』

粋乃の言葉が途切れる。

『今日は,私の目を見てくれませんもの。』

純は粋乃の声だけでその表情を判断した。

ー 自分は,また粋乃のさんを傷付けている‥。

『違うんです!!』

純は何かを決心したように粋乃に向き直った。

『やっと,気付いたんです‥自分の気持ちに。』

『自分の気持ち?』

『はい,』

純に,ためらいの色はない。

『私は,幼い頃から書道ばかりに打ち込み,一度も恋をしたことがありませんでした。
だけど,今更気付いたんです。』

純は,細い腕で支えながら身を乗り出した。

『私は,粋乃さんに恋をしていると。』

『‥?!』

粋乃は自分の耳を疑った。あの純が,自分に恋をしていると,望んでいた事なのに信じられなかったからだ。

『粋乃さん,愛しています。』

純はさっきよりもはっきりと言った。
粋乃は,ただ目の前の純を見つめている。

『ずるい‥。』

粋乃は言った。

『ずるいです!私だってあなたにちゃんと言いたかった!!』

純は粋乃の心中を読んだようだ。

『言って下さい。』

粋乃の手を握った。
粋乃は,
純を見て少しうつむいて口を開いた。


『あなたを,
 愛しています。』

声が震えていた。
純はその愛に答える様に粋乃の頬に触れ,
そっと唇と唇を重ねた。

2人の影は,静かな夏の夕日が差し込む中に,
しばらく同じ場所にあった。


●○続く○●

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