女の道

ポロネーズ(代筆/朝倉令)  2006-07-04投稿
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「オラ!ねーちゃん、いるのは分かってんだ、金払えコラッ!」



「あんだって?良く聞こえなかったからもう一遍言ってみ」

「ウギャアアアアァッ!」


必殺のサブミッションを食らった男は、私の下で凄絶な悲鳴をあげていた。



貧乏人から金を取り立てようとする様なやからは、取り敢えず撃退するのが私のポリシーである。





あたしはカイエ小田。


売れない漫画家である。



趣味は酒と格闘技。…ついでに編み物。



185?の巨体に、ボサボサの髪と『寝不足で二日酔いのべートーベン』じみた容貌が災いして、男運がまるでない。



そんなある日、借金取りの兄ちゃんが一人の男を連れてやってきた。



「今日はその… 別の用件でして、ハイ」


「あなた、プロになってみませんか?」


「へ?プロだって??」







「なめてんじゃねェぞコラッ!」


「いたたたっ!馬鹿、あんた手加減してよ」


「あ、ゴメン…」



対戦相手に小声で詫びた後も容赦なく関節を絞り上げる。






リング上でスポットライトを浴びた、悪役レスラー〈ビッグバン・カイエ〉となった私。



ようやく見つかった自分の道に、ちょっと違う様な思いながら満足していた。






但し、男運が無いのは相変わらずだ……









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