殺意
「あたしは、美貴を刺した男を…」
「だからぁ、アンタのお友達を刺したのは弘樹なの」
「え…」
弘樹が刺すわけないじゃん。
だって、優しくしてくれたし…
あたしの友達だってことも分かってるよね…
「んで、弘樹に頼んだのは三浦葵なの!」
雅と言う人は、あたしを見下ろしながら泣きそうな顔をした。
「なんで…」
「そりゃ、アンタが邪魔だからよ?葵と弘樹の仲をアンタが邪魔したからよ」
弘樹は…
美貴を刺したの…?
そんなわけないよね…
「ねぇ、だからさ」
あたしの顔をあげて、ニヤッと笑った。
「葵と弘樹の前から、消えてくれない?」
あぁやっぱり…
葵サンと弘樹の前から
消えるべきなんだ…
「さよなら…」
ダッ―\r
ピーポーピーポー…
遠くで救急車のサイレンが鳴ってる。
今あたしは、
どこにいるんだろう。
道が分からない。
「奈緒!!」
ハスキーボイス。
眩しい笑顔。
…弘樹。
振り向いて、またあの笑顔が見れるかな。
「…奈緒?」