疑い
「…どした?」
「弘樹さ、葵サンとやり直したら?」
無理矢理、笑顔を作って弘樹に振り向いた。
「え…?」
弘樹は、笑顔が消えていた。
「あたしのこと、好きじゃないなら無理に付き合わないで?」
泣きそうな顔が
バレてなかったら…いいな。
「何言ってんの…?」
弘樹の顔がどんどん引きつってくる。
「あたしのこと、好きじゃないでしょ?」
「好きだよ!!なんでそんなこと言うんだよ!!」
怒るの当たり前だよね。だってあたし、めちゃくちゃ変なこと言ってるんだもん。
弘樹のこと、信じたいのに。
「美貴、刺したの…」
「俺だって言いたいの?」
あたしを睨みつけて、泣きそうな顔をした。
「ちがっ…」
「俺のこと、疑ってんの?そんなに…信じらんないの?」
違うよ。
信じてるよ。
だけど…不安なの。
「…もーいい」
あたしに背を向けて、弘樹は歩き出した。
引き止めたいのに、声が出なくて。