失う辛さ
「奈緒!!」
「…梨奈」
「どこ言ってたの!?」
「ごめん…」
「…何かあったね」
梨奈に気付かれても仕方ない。
涙が溢れて止まんないんだから。
「とりあえず、美貴は病院に連れてかれたよ」
「そっか…」
「ねぇ、どうしたの?」
「……」
「…美貴の気持ち、よく分かるわ」
そう言うと、梨奈は歩き出した。
「…なんで?」
「だって、奈緒は何かあっても絶対言わないんだもん」
そうだ。
あたしは、何も言わない。
相手に迷惑かけちゃいけないって。
だから言えない。
「だから、美貴も奈緒が心配なんだよ。奈緒が落ち込んでるとこ見たくないんだよ、あたしも」
「うん…ごめん」
「まぁ、理由は何となく分かるけどね」
「ありがとう…」
「美貴の病院、行こう」
「うん…」
ガチャッ―\r
「あら…梨奈ちゃん、奈緒ちゃん…」
「どうも…」