君を選べなかった
悩みに悩んで出した答え
『もう会うのは辞めよう』
息を呑んで君からの返事を待った
あっさりと頷いて
『分かった』と君は笑った
僕を好きでいてくれた事は分かっている
楽しかったし自然と自分を出せた
君には感謝している
だけど急いで近付きすぎた気がする
物足りなかった訳ではない
ただ手の届かない存在に憧れる事もある
君は見抜いていた
『きっと上手く行くよ』と僕を励ます
怒る事もなく咎める事もなく君は最後まで優しかった
別れの時
君は何も言わなかった
会う事はないと決めたからだろう
振り返らない君を見届けた
狡い言い訳かもしれないけれど
君の事は好きだった
だけど君は自由な人だった
弱さは見せない
いつも笑って誰からも愛されるような不思議な魅力を持っている
僕でなくても君は大丈夫だと
そう思ったんだ
君の本当の弱さを知らなかったから
僕を頼ったりはしなかったから
だから弱くて守れる人を選んだ
僕は君といて
寂しかった
友人から聞いた
あの後君は泣いていた事を
その時初めて知ったんだ
君がどれだけ傷を負ったかを
どんな想いで笑顔を見せてくれたかを
僕の幸せを願って涙を見せなかった事を
本当はいつも君は寂しかった事を
見抜けなかった自分が情けない
違う道を選んだ僕の背中を押してくれた
自分の本音を犠牲にしてまで
もう少し早く気付いてあげるべきだった