俺は市外の中学校で臨時採用だが教員をしている。
今の学校には4月に来たばかりだ。この中学校から臨時採用で勤めることになった時、今年も無事働く職場があることに感謝したが、同時に実家からはとても通える距離ではないことに気付いて落胆した。しかたなく、俺は28歳にして人生初の一人暮らしをすることになった。
臨時採用とはいえ、教員免許は正式採用の教師となんらかわることはない。しかし、経験もないのにいきなり学校に放り込まれて仕事をしなければならない。
教員という仕事は生徒相手だ。毎日同じということはない。いかに勉強に興味をもたせられるか、わかってもらうか、考えに考え、試行錯誤して授業を行う。しかし相手は人間だ…考えた通りにいくわけもなく、さっぱりうまくいかないときもある。とゆうか生徒が何を考えているのかさっぱりわからないことが多い。
特に最近の子は…。
良いように聞こえにくいが、要はジェネレーションギャップってやつだ。時代の流れで子も変われば親も変わるさ。
特に最近はモンスター・ペアレンツとか世間でもよく言われているじゃないか。モンスターの子はモンスター…とまでは言わないがなかなか個性的な子が多い。考え方も人とずれている。それでも理解しようと努めている。それが教員じゃないか。
そんなわけでも、臨採は所詮臨時採用。いつ仕事がなくなるかわからない。
俺は仕事傍らに勉強し、今年も例年同様県の教員採用試験を受けた。精一杯頑張ったつもりだったが、県下の厳しい採用状況に俺は今年もあえなく散った。
そんな奴は多いだろう。
県外も考えたが、そんな都会で、臨時採用の俺が、モンスター・ペアレンツや学校方針と戦いながら教師としてやっていけるわけがない…。県外でやっていくにはもっと教員としての経験が必要だ。それで俺は県内に留まっていた。
来年こそはと毎年思う。もう俺も若くはない、頑張らなくては!と。
だが今年も無理だった…。
俺は独り身で背負うものがない。俺には現状を打破する後押しが足りないのだ。だから彼女でもいればと思う。結婚もおかしくはない歳だというのに…。数ヵ月前に別れて以来、良い出会いはなかった。くそっ。
そう思いながら今日も仕事を終えて一人でアパートに帰る。
鳴らないケータイで出会い系サイトをのぞく。
結局虚しい一人遊びだ…。