やり切れない気持ちで窓に目を移すと
外は雨
それはまるで貴女がいるかのように
電話口啜り泣き「なんでなの!どうしてなの」と俺に尋ねるが
答えられない
優しい言葉の一つも用意しとけばよかったのかも
だが、そんな余裕もほんとになかった
あったのは貴女と同じ当然の親友の死だった
「貴女に会うんだ」
「じゃー送ってやるよ待ってろ」
あいつのバイクの音が聞こえて姿が見えた。軽く左手で合図したあいつのメットの中には笑顔が確かに見えた。
だが次の瞬間嫌な音がした。
あいつの体とバイクが離れ、鉄の塊となった車がさらに住宅へ
その後ははっきりしない。
呆然としていた。
「救急車!誰か救急車だ!」
誰が叫んだのかさえわからない。
目の前に横たわった体があった。
声すらかけれなかった。
どうなればいいと思ったのだろう。
片隅のどこかで「嘘だ…!」
五月蝿く鳴り響いた音に我に帰り救急車に同乗した。友達と言うことで沢山聞かれた。
病院に着いた。
あいつは声に成らない声で何か言った。「ごめんな」と聞こえた。
医者が出て来た
首が左右に動き俺は公衆電話をかけていた。